派遣社員は期間が定められている有期契約のため、正社員のように同じ職場で長く働き続けることができません。
また、3カ月や6カ月といった期間の派遣契約が更新されないという可能性もあります。
つまり、派遣社員として働く以上、将来への不安はつきものなのです。
派遣社員として働いていたら正社員になれないのではないかと将来を悲観する前に、まずは派遣社員だからこそ正社員採用に向けて得られるメリットに注目してみましょう。
派遣法改正により働ける期間が最大3年までとなる可能性が高い
派遣社員が将来への不安を覚えだしたきっかけの一つに、2015年に行われた労働派遣法の改正が挙げられます。
この改正により、派遣先企業の同一の組織単位(課)に同一の派遣社員を派遣できる期間は3年が限度となってしまいました。
もし3年以上の派遣が見込まれる場合には、雇用安定措置として、派遣会社は派遣先に直接雇用をお願いしたり、派遣会社での無期雇用になるよう努める必要があります。
しかし、派遣会社も派遣先も、多くの派遣社員を正社員や無期雇用とするにはリスクが生じます。
そのため、実際は3年未満で新たな派遣先を紹介される可能性が高いと言われています。
3年未満で契約が終了してしまう可能性が高いというのは、派遣社員にとってどうしても将来への不安へつながってしまうのです。
どんなキャリアを積んでいきたいのか、自分の将来像を考えよう
では、派遣社員が将来正社員を目指す時、どのようなことをすれば良いのでしょうか。
まず行うべきことは、自分がどんなキャリアを積んでいきたいのか、どんな会社で働きたいのか、という将来像を考えることです。
派遣社員に限ったことではないのですが、まずはゴール地点となる目標を定めることは非常に重要です。
目標が定まったら、そこに向けて進むべきルートが見えてくるからです。
闇雲に転職活動を行っても、希望に合わない仕事や職場で採用されたら長続きしません。
長期的に働き続けるために正社員になりたいと思うのなら、自分のやりたい仕事で希望に合う条件の企業に採用してもらう必要があります。
そのためにも、まずは将来像を考えることからスタートしましょう。
派遣社員である間に何をするかが重要!メリットを存分に活かそう!
将来こうなりたいという目標が見つかったら、そこに向かって進み始めましょう。
派遣会社ではキャリアアップするための福利厚生や研修がたくさん用意されています。
特に大手の派遣会社では驚くほど充実した福利厚生を用意していることがあります。
将来を見据えて動いてくためには、派遣社員だからこそ活用できる福利厚生があることは大きなメリットです。
これを活用しない手はありません。
自分が登録をしている派遣会社でどのような福利厚生を用意しているかは、派遣会社の登録会でもらえるハンドブックや、派遣会社のwebサイトに記載があるはずですので、確認をしてみてください。
では、たくさんある福利厚生の中から何を活用していけばいいのでしょうか?
派遣会社のキャリアカウンセリングを活用する
派遣会社では有資格者のコンサルタントと面談ができる、キャリアカウンセリングを行っていることがあります。
キャリアカウンセリングはその派遣会社で働き続けるための相談会だと考えている方もいるようですが、実は将来正社員になるための相談をすることもできます。
キャリアプランの作り方や、やりたい仕事に就くための資格のこと、転職時のアピール方法など、様々な相談が可能です。
もちろん、漠然とした不安ごとでも大丈夫。
コンサルタントがしっかり話を受け止めてくれます。
将来は正社員としてこういう仕事をやりたい、ということが心に決まっても、その後どうしていいかわからなければ進みだすことができません。
明るい将来に向けてまず一歩踏み出したいという時は、ぜひキャリアカウンセリングを活用してみてください。
派遣会社が提携しているスクールやeラーニングで学ぶ
あなたが将来やりたいと思っている仕事は、経験したことがない仕事かもしれません。
必要となるスキルが足りていないかもしれません。
未経験OKとしている正社員採用もありますが、実務経験やスキルがある人の方が有利に選考を進んでいくはずです。
実務経験を新たに積んでいくことも可能ですが、スクールやeラーニングで学びスキルを身に着けていくという方法もあります。
派遣会社によっては提携しているスクールに割安で通うことができたり、自分の好きな時間に学べる方法としてeラーニングを用意していることがあります。
学べることは様々で、ExcelやPowerPointなどのパソコン関係、英語や中国語といった言語系もあります。
将来役立てることができそうなものがあれば、積極的に学んでみてください。
社内研修や資格取得補助を受けて資格を取得する
提携スクールが無くても、派遣会社の社内で研修や勉強会を行っていることも多々あります。
専門的な研修では有料なこともあるようですが、無料で参加できる研修も多くあります。
スクールのように毎週同じ曜日・時間に開催しているとは限らないので、都合に合う研修があれば参加してみてはいかがでしょうか。
また、資格取得に向けての研修を行っていたり、資格取得にかかる料金の補助を受けられることもあります。
派遣社員が資格を取れば紹介できる仕事が増えるなど、派遣会社側からしてもメリットがあるため、こういった制度が用意されていることがあるのです。
どうせ資格を取るのであればお得であるにこしたことはありません。
資格取得の研修や補助の制度の有無は必ず確認しておきましょう。
経験の少ない業種でも積極的にチャレンジしてみる
なかなかスクールに通えない、実務経験を積みたいという時は、派遣コーディネーターや営業担当者に相談をしてみましょう。
派遣社員の仕事でも未経験可能な仕事がありますので、もし希望に合う仕事が出てきたら紹介してもらえるかもしれません。
経験したことがない仕事に就くときは、慣れるまでに時間がかかる、覚えることがたくさんあるなど、たくさんの不安が付きまといます。
ですが、中途採用の選考を受けるときは資格を持っていて実務経験がない人よりも、資格が無くても実務経験がある人の方が有利になることもよくあることです。
派遣社員だからこそ、契約更新をせずに次の派遣先を紹介してもらうという手が使えるのです。
将来につながる仕事に携われる可能性があるのであれば、積極的にチャレンジをしてみましょう。
契約更新の時期でなくても、常に転職活動を行う
将来やりたい仕事がこれまでに経験がある仕事の場合、または必要となるスキルを身に着けている場合には、転職活動を行いましょう。
よく派遣契約の更新時期にだけ転職活動を行う方がいますが、そうタイミングよく正社員採用が決まるとは限りません。
本腰を入れて転職活動を開始しても即決・即入社となることは少なく、入社まで2~3カ月かかることがほとんどで、1~2年かかることさえもあります。
そのため、常に転職活動を行っている方が効率的なのです。
もし、派遣契約満了まで数カ月ある時期に正社員として採用された場合には、入社時期の相談をしてみましょう。
2か月くらいであれば伸ばしてくれるかもしれません。
もし内定先から一刻も早く入社して欲しいと言われた場合には、派遣会社に契約早期終了の相談をしてみましょう。
派遣先での直接雇用を目指し、やるべき仕事をしっかりこなす
派遣社員として働くうちに、将来この派遣先で正社員になりたいと思うこともあるでしょう。
紹介予定派遣ではなかったとしても、派遣先から直接雇用の打診は多々あることです。
これは派遣社員として一緒に働いていた期間があるからこそのことで、一般的な中途採用ではない採用ルートとなります。
しかし、派遣先で「正社員として欲しい」と思われる人材にならなければ、残念ながら直接雇用になることなく契約満了となってしまいます。
将来、派遣先で正社員になりたいと考えているのであれば、やるべき仕事をしっかりこなすことを忘れてはいけません。
また、任された仕事をこなすというのはもちろんですが、心遣いある対応を行い、提案などを行うことができれば、派遣先はあなたを正社員として迎え入れたいと考えてくれる可能性が高まるでしょう。
派遣会社を選ぶ時はキャリアアップを目指せるところを選ぼう
2015年に行われた労働派遣法改正の影響もあり、マイナスイメージが強くなってしまった派遣社員ですが、派遣社員ならではのメリットがあることもお分かりいただけたと思います。
悲観的になりすぎてボーっと派遣社員として働き続けるのではなく、福利厚生や制度をどんどん活用し、将来を見据えていきましょう。
そして、明るい将来を目指すためには、キャリアアップが可能な派遣会社へ登録しておくことがカギになってきます。
自分に合った制度を利用するために、複数の派遣会社に登録をしておくというのも、良い手段ではないでしょうか。
派遣会社に登録を行う時は、必ず将来のことを見据えて、自分にとってメリットがあるところを探すことを忘れないでください。