【一般派遣VS特定派遣】特定派遣の終了に伴う派遣社員への影響とは?

特定派遣という言葉を聞いたことはありますか?普通の派遣社員と区別するために作られたこの言葉ですが、なんとなく「普通の派遣社員に比べて身分が上」「収入の安定した派遣社員」といったイメージがありますよね。

しかしこの特定派遣も2015年の改正労働者派遣法により、無くなってしまいました。

経過措置として2018年9月末までは残ることになっています。

そこで本記事では特定派遣とはいったい何なのか、普通の派遣社員との違いを見ながら考えていきましょう。

目次

派遣社員は知っておこう!一般派遣と特定派遣の違い

派遣社員というと一般的には派遣会社に登録して、職場となる派遣先を紹介してもらって、労働条件に合意できれば即お仕事開始、といった労働形態が普通ですよね。

実は特定派遣というものの、基本的な働き方は一緒なのです。

しかし、特定派遣はまず給与面でも一般派遣よりも上で、さらに「正社員」という肩書なのです。

派遣なのに正社員っていったいどういうこと?気になりますよね。

まずは一般派遣と特定派遣の根本的な違いについてみていきましょう。

多くの人が利用している一般派遣ってどういう意味?

先ほども言った、派遣会社に登録して、職場となる派遣先を紹介してもらって働きに行くという、世の中のほとんどの派遣社員にあてはまるであろう労働形態、それが一般派遣です。

労働内容は正社員に任せるほどではないのだが、それなりにスキルのある経験者にやってもらいたい内容、といった感じで事務に関する仕事が多いのが特徴。

契約期間は数カ月単位と非常に短く、派遣先企業との相性が良く今後も働きたいと感じれば契約更新、別の仕事を受けたいのであれば契約を更新せず新たな派遣先を紹介してもらうといった働き方です。

人によってはなかなか職場が安定せず、いろんな職種を行ったり来たりする、という少々不安定でストレスのたまる仕事でもあります。

特定派遣と一般派遣はどう違うの?メリットはある?

これに対して特定派遣というのは派遣会社の正社員として常用雇用契約を結んだ後、労働力を必要とする派遣先に派遣され、そこで派遣社員として仕事をするという派遣の形です。

エンジニアなど理系の専門性の高い高度な業種においてよく採用されてきた労働形態で、派遣期間も無期限という非常に恵まれた仕事でした。

つまり一般派遣では契約社員を派遣するのに対し、特定派遣では正社員を派遣するようなものだったのです。

一般派遣と違い、特定派遣の派遣社員は、派遣先での仕事が終わっても、派遣元に正規採用されている状態ですから、常に身分が保証されているという強みがあったのです。

そのため、特定派遣の方は派遣元の派遣会社でも働く、なんていうことも多くあったようです。

特定派遣は2018年9月末で終了!考えられる派遣業界への影響

しかしこのような特定派遣も2018年の9月で完全に終了することが決定しています。

大きな影響としては特定派遣が行われていた業種は雇用期間が無制限だったのですが、それが取り払われたことにあるでしょう。

具体的には以下の26業種についてです。

  • ソフトウェア開
  • 械設計
  • 放送機器等操作
  • 放送番組等演出
  • 事務用機器操作
  • 通訳・翻訳・速記
  • 秘書
  • ファイリング
  • 調査
  • 財務処理
  • 取引文書作成
  • デモンストレーション
  • 添乗
  • 建築物清掃
  • 建築設備運転・点検・整備
  • 案内・受付・駐車場管理等
  • 研究開発
  • 事業の実施体制等の企画・立案
  • 書籍等の制作・編集
  • 広告デザイン
  • インテリアコーディネーター
  • アナウンサー
  • OAインストラクション
  • テレマーケティングの営業
  • セールスエンジニアリングの営業
  • 放送番組等における大道具・小道具

これらも一般派遣と同じような扱いをされるようになりました。

労働者派遣法改正による派遣労働者への実際の影響

労働者派遣法改正は、一見特定派遣のメリットを奪うような感じに見えますが実は全くの逆。

というのも悪徳な業者や企業によって、本来給与面で良い待遇を受けるはずの特定派遣社員が安い給料で搾取されるような環境が横行してきたのです。

そのような状況を防止しなければならない、と考えた厚生労働省は2015年に改正労働者派遣法を施行。

それによって特定派遣・一般派遣を一本化し、派遣社員を全体で守るという法改正を行ったのです。

派遣社員の待遇は良くなるの?雇用は安定する?

これはどういうことかというと、厚生労働省は派遣社員を一時的な不安定なものとして考え、派遣社員として長期間働くことは良くないことだと考えたわけです。

したがって、派遣社員が同じ派遣先の同じ部署で働ける限度を3年と決め、それ以上の期間にわたって雇用したい場合は企業は派遣社員に対して直接雇用を訴えなければならない、となりました。

改正労働者派遣法は派遣社員を守るための法律だったのですね。

これによって長く働く意思のある派遣社員の雇用が安定するように舵をきったのです。

派遣社員自体の給料や福利厚生が改善したわけではないのですが、派遣社員の将来のキャリアに向けて確実に良い影響を与えることができたと言えるでしょう。

派遣社員へのキャリアアップサポートはどうなる?

改正労働者派遣法の施行と同じ2015年に、厚生労働省は派遣社員のために「キャリアアップ支援制度」というものを策定しました。

具体的には、派遣会社は派遣社員に対して 派遣労働者のキャリア形成支援制度として策定した教育訓練計画に基づいてキャリアアップ支援を行わなければならない、とされたのです。

例えばフルタイムで1年以上雇用が見込まれる派遣労働者は1人当たり毎年8時間以上の教育訓練の機会を提供される、などの具体的な施策が実行されるようになりました。

昨今の派遣会社での派遣社員へのサポートは手厚く、社会人としての基本的なマナーやスキルの研修はもちろん、外部専門学校などと連携して、キャリアアップのための資格取得講座などを実施している会社も多く存在します。

派遣社員へのキャリアアップサポートは充実の一途をたどっているのです。

まとめ

元々派遣会社の正社員として雇われ、高度な業種を中心に紹介され待遇の良かった特定派遣は、2018年に全面廃止され、一般派遣と同じ扱いになりました。

これにより、派遣社員はみな同じ待遇となったわけです。

そもそもこれは特定派遣として働いていた派遣社員への搾取が問題となったことで、彼らを守るために取られた措置です。

現在年々増えている派遣社員の数、および厳しい現状を考慮して派遣社員が少しでも多く安定した職につけるようにできるための施策であり、また厚生労働省はキャリアアップ支援制度についても策定をしました。

今後は派遣社員へのサポートが一層手厚くなり、派遣社員がより働きやすい環境が出来上がるようになっていくことが期待されます。

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