抵触日に関する基礎知識&派遣社員が同じ派遣先で長く働く方法2選

派遣社員の方なら一度は「抵触日」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

なんとなく「派遣社員として働くことができる期限」のようなイメージを持っていらっしゃる方も多いかもしれませんね。

しかし、この抵触日、正しい意味と基礎知識を持っておかないと後々に大変なことになる恐れがあります。

そこで本記事では、抵触日に関する基礎知識、そして抵触日を迎えてしまったらどうなるのか、さらに抵触日を超えて働くことは不可能なのか、を詳しくお伝えします。

目次

派遣社員なら知っておきたい!抵触日に関する基礎知識

それでは早速、派遣社員の抵触日について見ていきましょう。

抵触日とは冒頭でも言ったように派遣社員にとってのタイムリミットと認識していただければほぼ間違いありません。

しかし、実際に抵触日はいつのことなのか、ということをまず知っておかなければなりません。

また、抵触日には2種類あるということも知っておく必要があります。

ここでは、抵触日の定義や実際について詳しく説明いたします。

現在派遣社員として活躍されている方は必見ですので、よく頭にいれておきましょう。

そもそも抵触日とは?抵触日を迎えたらどうなる?

2015年9月に施行された改正労働者派遣法において、派遣社員が同じ部署に所属できる最長の期間は3年と定められました。

そして抵触日とは、この3年目の期日が切れた翌日のことを指します。

この期間を過ぎると、原則同じ事業所などで派遣社員は働くことができなくなるんです。

ただし、実は派遣先企業の労働組合または代表者の過半数に話を聞き、そこで同意を得られれば、この抵触日を迎えた後も派遣期間の延長をすることもできます。

ただし、現在働いている契約が2015年の改正労働派遣法が施行する以前に締結されたものであれば、この3年という抵触日の概念は適用されません。

あくまでも、2015年以降に派遣社員として就業した人が対象となります。

派遣会社の内情に迫る!抵触日は2つあるって知ってた?

ところで、実は抵触日って2つあることご存知ですか?

一つは派遣社員として働く中で迎える抵触日ですが、もう一つは、派遣会社が迎える抵触日です。

そもそも派遣社員というのは、初めに企業が派遣会社と「何時から何時までの期間、派遣社員を雇います」という契約を結びます。

そして、その契約を実施するために、派遣会社が派遣スタッフと契約を結び、企業へと派遣するものです。

ですから、企業と派遣会社の間に結ばれた契約と、派遣会社と派遣スタッフとの間に結ばれた契約の二種類があるんですね。

そして、企業間の間結ばれた契約の抵触日を過ぎると、たとえ派遣社員としての抵触日までまだ期間がある場合でも、その企業で働くことはできなくなります。

ただし、例外的に60歳を超えた派遣労働者や、派遣会社と無期雇用の契約を結んだ派遣社員などには適用されません。

無期雇用の契約は2013年の改正で定められたルールで、派遣社員として5年以上働いた段階で派遣社員が希望すると結べる契約です。

なお、契約を結ぶのは派遣元の企業であり、派遣先企業ではありません。

つまり、派遣元と無期限の雇用契約を結ぶので、仮に企業としての抵触日を迎えて企業間の契約が終わったとしても、雇用自体は派遣元が保証してくれるので、その後も働き続けられる、ということです。

ただし、もちろんそれまで働いていた企業とは契約が切れていますから、別の企業で働くことになります。

派遣社員なら知っておきたい!抵触日が存在する理由

さて、そもそもなぜこのような抵触日が存在するのでしょうか。

仕事が欲しくて派遣社員をしているのに、その働く期間にリミットがあるなんて確かに変な感じもしますよね。

この抵触日という概念は、先ほど紹介した、2015年の改正労働者派遣法によって定められたものでもあります。

そもそも日本のこういった法律では派遣社員=不安定なもの、臨時的なもの、という風に考えられています。

そのため、派遣社員は正確には正社員の代わりではないのですね。

このような将来や収入が不安定な状態を3年以上続けるのは派遣として働いている人にとってマイナスであるという考え方が根本にあるのです。

3年も派遣として働かせるくらいなら、正規雇用をしなさいということですね。

抵触日はある意味派遣社員を守るためのルールなのです。

まだ働きたい!抵触日を超えても同じ会社で働く方法

抵触日を過ぎてしまったけど、また同じ職場で働きたいな…と思う方も多いですよね。

派遣社員と言えども、ある程度会社になじんでしまえば、正社員になりたいという思いが出てきても当然のことです。

改正労働者派遣法で決まっているため、もちろん同じ事業所や、同じ部署や課で3年以上働くことは不可能でしょう。

しかし、それ以外でなるべく派遣社員の思いに寄り添うような方法はないのでしょうか?

この記事の最後に、派遣社員が抵触日を超えることができる方法を探ってみましょう。

同じ会社の他の部署に異動して働くことはできないの?

先ほども言ったように、同じ会社の同じ部署で3年を超えて派遣として働くには無理があります。

ですが、改めて別の会社に移るとまた一から仕事を覚えなければいけませんし、人間関係も構築し直さなければなりません。

今の会社で良好な人間関係が気づけている場合、できれば同じ会社で働きたいという思いを抱くこともありますよね?

その場合、まず考えられるのは、抵触日を迎えた段階で派遣先の企業と正規雇用を結ぶこと、つまり、正社員として迎えてもらうという方法があります。

3年間しっかりと働き、派遣先からも評価を得られていれば、企業としても長く続けてほしいと思ってもらうこともあるでしょう。

派遣契約が終わるということは、どこの企業にも属していないということになりますから、改めて派遣先に就職することはもちろん可能です。

正社員として就業する際には必ず派遣元に相談しよう!

ただし、一点注意が必要です。

一般的に、派遣社員として就業中に、派遣先がそのスタッフを正規で雇い入れようとした場合には、派遣元へ対して紹介料を払うことが多いものです。

例えば、企業間の契約期間が残っている中で正社員として雇われた場合、派遣元としては、最悪の場合企業間の契約を更新してもらえない場合さえあります。

そうなると、ちょっとした遺恨ができてしまいます。

それを避けるためにも、まずは派遣元に対して相談をする方がよいでしょう。

不安定な収入にさよなら!抵触日以降正社員にはなれないの?

基本的に、抵触日を過ぎても派遣先企業が派遣社員を引き続き同じ部署で雇いたい場合には、派遣社員に対して雇用を申し込む義務が発生します。

また労働者のサイドから見た場合、同一の派遣先に1年以上派遣される見込みがある場合は、派遣会社から派遣先へ直接雇用のお願いをすることができます。

これを行うと派遣会社の売り上げは下がってしまうのですが、改正労働派遣法がある以上、派遣社員から「直接雇用のお願いをしてください」と言われたら、原則派遣会社は派遣先企業にお願いをしなければなりません。

これによって直接雇用だけでなく正社員になれる可能性も出てくるわけですから、現在派遣社員の方で直接雇用を狙っている方にはぜひ試してもらいたい方法です。

まとめ

派遣社員の抵触日には企業間の抵触日と派遣社員としての抵触日の2種類がありますが、基本的にはどちらも3年が期限となっています。

これは改正労働派遣法によって定められたルールであり、派遣社員を派遣社員として3年以上不安定な職に置いておいてはいけないという考えの下、派遣社員を守るために生まれたものです。

したがって派遣社員が抵触日を過ぎた場合は原則同じ会社の同じ部署で働き続けることはできません。

しかし、どうしても同じ職場で働きたい場合は、派遣社員側から、派遣会社を通して直接雇用のお願いをすることができます。

中には売り上げが下がるために、そういった直接雇用のお願いに協力的でない派遣会社もありますが、多くの会社では派遣社員の希望に沿うように動いてくれるため、一度試してみる価値は十分にあります。

また、自分の抵触日だけではなく、企業間の抵触日もしっかりと知っておいた方が、いざという時の備えという意味でもよいでしょう。

もちろん、企業として契約が終了したという場合は事前に派遣社員にも通達が行きますが、自分の身は自分で守れるように、あらかじめ担当者に聞いておくとよいですよ。

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