派遣社員の一般的なイメージは、「色々な会社に期限付きで派遣される事」です。
こちらは「登録型派遣」と呼ばれる種類の派遣であり、確かに大半の方が登録型で働いています。
ですが派遣社員にも色々な種類があるのをご存知でしょうか。
今回は「紹介予定派遣」について説明します。
紹介予定派遣は簡単に言うと「企業に直接雇用されることを前提にした派遣社員」です。
本記事ではこの紹介予定派遣のメリットやデメリットについてまとめました。
紹介予定派遣って何がいいの?紹介予定派遣で入社するメリットとは
紹介予定派遣は先ほども述べたように、企業に直接雇用されることを前提に派遣されます。
選考や面接が必要になりますが、その分企業への就職がほぼ確約されているので、安定性の高い働き方と言えるでしょう。
では通常の採用と違ってどのようなメリットがあるのでしょうか。
本項では、紹介予定派遣のメリットについて説明します。
職場との相性を、実際に仕事をしながら確かめることができる
いざ仕事が決まっても、その職場がどのような環境かを知ることは難しいですよね。
実際に働いてみなければ忙しさや人間関係はわからないですし、自分とあっているかも不明です。
紹介予定派遣であれば、最初の6か月間は派遣社員として働く事ができます。
つまり実際に働いてみて、企業が自分に合っているかどうかを確かめることができるのです。
企業側もそれは同じで、雇う前にその人の適性を判断することができるので、採用されてからの離職率の低下を防ぐことができます。
利用者にとっても企業にとってもメリットがあることが、紹介予定派遣の魅力と言えるでしょう。
即戦力ではなくとも、長期間で仕事ぶりをアピールできる
企業が人を採用するときは、その人の経歴と面接での印象によって決まります。
ですが面接なんて数十分くらいで終わりますし、アピールの場としては少し短いですよね。
紹介予定派遣で働くと、6か月間仕事をする中で自分をアピールすることができます。
面接ではわかりづらい仕事への取り組み方ややる気などをわかってもらいやすくなるので、自分の力を存分に発揮することができます。
自分の力が出せない職場であればそもそも自分には合っていないことがわかりますので、企業とのミスマッチを防ぎやすいです。
面接でアピールすることが苦手という人でも、紹介予定派遣を使えば自分を最大限に見せることができますのでお勧めです。
派遣会社が間に入るので、交渉などの煩わしい部分を手伝ってもらえる
就職活動では自分で会社の事を調べて、エントリーして、面接を何回も繰り返してと結構手間がかかりますよね。
紹介予定派遣では派遣会社が間に入っていますので、ある程度面倒な事は派遣会社が手伝ってくれます。
企業とのマッチングは会社がやってくれますし、紹介する会社もなるべく本人に合った会社を探してもらえます。
更に、派遣会社によっては担当者が面接に立ち会ってくれる場合もあります。
派遣会社としても紹介予定派遣が成立すれば紹介料などで利益を上げることができますので、派遣会社と利用者のお互いにメリットのある形態と言えるでしょう。
普通の派遣よりも安定していそうだけど、ダメな点もある?デメリット解説
紹介予定派遣のメリットを見ていると、普通の派遣よりも将来性があって安定しているように感じますよね。
しかし見方によってはデメリットになってしまう点も存在します。
普通の派遣にもデメリットはありますので、紹介予定派遣だけに悪い点があるというわけではありませんが、自分の人生の選択肢として視野に入れるのであればデメリットも知っておく必要があるでしょう。
本項では、紹介予定派遣のデメリットについて説明します。
派遣社員として働ける期間が、通常より短い6カ月
通常の派遣であれば最長で3年間働く事ができますが、紹介予定派遣は最長でも6か月間しか派遣社員として働くことができません。
逆に言うと、6か月間で成果を出さなければ今後も働く事ができないというハードルになってしまいます。
確かに普通の採用活動と比べて猶予は与えられているのですが、通常の派遣だと最長で3年間まで働くことができるので、そちらと比べるとかなり短い期間での勝負になります。
通常の派遣から直接雇用してもらう道も存在しますので、どちらのほうが自分に合っているかは検討する必要があるでしょう。
書類選考や面接などをこなさなければ採用されない
実は、普通の派遣社員を企業が選考や面接をすることは法律で禁止されています。
かといって必ず採用されるわけではありませんが、普通の採用活動に比べるとハードルが低いと言っても過言ではありません。
しかし紹介予定派遣に関しては選考や面接を許可されています。
どのような形式で面接を行うかは企業によってまちまちですが、大々的に採用活動として面接を行ってもいいので、合否に関しては普通の派遣社員より厳しく見られがちです。
就業前だけでなく、派遣として就業している間にも面接が行なわれる可能性もありますので、常に準備をしておく必要があります。
将来性があって安定しているのですが、採用にたどり着くまでの道は普通の派遣より険しいものとなっています。
必ず正社員になれるわけでは無い上に、自由な働き方を選び辛い
紹介予定派遣の内容を聞いていると、選考を通ると正社員になれると誤解しがちです。
あくまでも企業との「直接雇用」が前提となっているだけですので、契約社員という可能性も十分にあり得ます。
極端に言えばパートだって直接雇用という括りなのですから、パートとして採用される可能性も0ではありません。
更に、派遣社員の魅力である自由度の高さも失われがちです。
自分の働きたいように仕事を選ぶことができるのが派遣社員の特権でもありました。
残業無しや週3日勤務など、色々な求人から選ぶことができたのですが、紹介予定派遣で就職したら基本的にフルタイムでの勤務になり、自由度が高い働き方とは言えなくなってしまいます。
もちろんその分給料の安定性は高いですが。
派遣の種類は、自分の将来をしっかり考えてどのように働くかを決めてから選択するようにしましょう。
なぜ紹介予定派遣という制度があるの?企業から見た紹介予定派遣とは
メリット・デメリット共に述べさせていただきましたが、やはり紹介予定派遣は利用者にとっては魅力的な制度であり、直接雇用を目指して働くという事はモチベーションアップにもつながります。
では、企業側はどのように感じているのでしょうか。
企業に直接雇用が決まった場合、企業は派遣会社に紹介料を支払う決まりになっています。
その分お金が多く必要になるのですが、それを超えるメリットは果たしてあるのでしょうか。
本項では、企業から見た紹介予定派遣制度について説明します。
普通に採用活動を行うより、コストパフォーマンスが高い
普通に採用活動をした場合、どれくらいの手間がかかるかご存知でしょうか。
まず求人情報を出すことをリクルートサイトに依頼します。
その後説明会などで会社の事を知ってもらい、応募してきた人の書類に1枚1枚目を通し、その中で選ばれた人を面接します。
面接も1回で終わることは少なく、何度も繰り返し面接を行うことで優秀な人材を見つけて採用するのです。
広告の費用・面接場所や説明会の場所の費用・採用に関わる人間の人件費などを考えると、非常にたくさんのコストと時間がかかりますよね。
紹介予定派遣はその面倒な行程をかなり減らすことができます。
求人は出す必要がありますが、説明会をせずとも派遣会社から紹介を受けますし、多くの人を面接する必要もありません。
紹介料を支払っても十分おつりがくる位のコストの低さが紹介予定派遣にはあるのです。
企業としても、入社してもらう前に適性を見極めることができる
先ほども述べましたが、入社する前に派遣社員として働いてもらう事になりますので、直接雇用する前に仕事ぶりや適性を見極めて採用することが可能です。
普通の採用活動では、せっかく手間暇をかけて採用した人材が会社と合わないという理由ですぐに辞めてしまうことも珍しくありません。
お金も時間も人材も全て失ってしまうので、採用活動にはかなりのリスクがあるのです。
その点紹介予定派遣は見極めをできるという点だけでもかなりリスクが低いですよね。
紹介予定派遣は派遣会社と取引をしていなければ利用できないため、企業側としても認知度がそこまで高くありません。
ですが今後はコスト削減のために、紹介予定派遣の求人が増えていくことが予想されます。
まとめ
いかがでしょうか。
あまり馴染みのない制度だったかもしれませんが、理解を深めていただけたでしょうか。
今の日本では「働き方」をもう一度見直そうという声が非常に大きくなっています。
正社員として働いて過労死してしまうという悲惨な事件もあり、自分の生活の満足度を高める動きが強まっているのです。
派遣社員は満足度の高い働き方として認知されていましたが、安定性に欠けていました。
ですが紹介予定派遣を上手く使う事によって、色々な道を選択することができるようになったのです。
皆さんも自分の将来を考えた上で、紹介予定派遣という制度を使用してみてはいかがでしょうか。